認知症が進むと最後はどうなる?20年以上のキャリアを持つ介護士が解説!

認知症にはいくつかの種類があり、症状の現れ方や進み具合いが違っています。
ただ、どの種類であっても、認知症が完全に治るということは、ほとんどありません
ごく稀なケースとして治る場合もあるようですが、基本的に認知症は進行を続けるものだと考えておいた方がよいでしょう。

では、認知症が進むと、どのような症状が現れるのでしょうか?
そして最後はどうなるのでしょうか?

このページでは、20年以上介護士として働き、たくさんの高齢者の方と接してきた私の経験も踏まえて、認知症の症状の現れ方や進み具合い、そして最後はどうなるのかを解説させていただきます。

初期症状は種類ごとに異なる

認知症にはいくつかの種類があり、それによって初期症状は異なります。
したがって、まずは代表的な4つの種類に分けて、それぞれの初期症状や進み方を解説します。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型は日本で最も多い種類の認知症です。
原因は不明ですが、脳が萎縮して、もの忘れ、日付けや場所が分からないなどの症状が、徐々にゆっくりと進行していきます。

アルツハイマー型認知症は女性に多く発症します。

血管性認知症

血管性認知症は、脳の血管障害が原因で発症する認知症です。
脳の一部が障害されることで、体の片側が麻痺したり、言語障害が現れたりします。

血管性認知症は、徐々にではなく、段階的に「ガクッガクッ」という感じで進行していきます。
男性に多い認知症です。

レビー小体認知症

レビー小体という物質が脳の中に現れ、それが神経細胞にダメージを与えることで発症する認知症です。
見えるはずのないものが見えたり(幻視)、歩行が小刻みになったりするなどの症状が現れます。

また、日内変動といって、時間帯によって理解力や判断力が良かったり悪かったりするのも特徴です。
レビー小体認知症は、理解力や判断力が良いときと悪いときを繰り返しながら、徐々に進行していきます。

前頭側頭型認知症

脳の前頭葉から側頭葉という部位にかけて萎縮が起こり発症します。
初老期と呼ばれる60代で発症することの多い認知症です。

一般的な常識やルールが分からなくなったり、怒りっぽくなったりするという特徴が現れます。
また、同じ行動を繰り返す(常同行動)ということもあります。

前頭側頭型認知症は、アルツハイマー型と同じように、徐々にゆっくりと進行していきます。

中期辺りから症状が似てくる

初期の段階では症状が違っていても、中期辺りになると、どの種類の認知症でも徐々に似たような症状になってきます。

記憶力や理解力、判断力の低下が進む

やはり最も目立つのが、記憶力や理解力、判断力の低下です。
特に、記憶力の低下が顕著になります。
通常の物忘れのように記憶の一部を忘れるのではなく、認知症の場合は記憶そのものがなくなるというのが特徴です。

例えば、ご飯を食べたことは覚えているけど何を食べたのか忘れる、というのが通常の物忘れ。
これに対し、ご飯を食べたこと自体を忘れているのが認知症の症状です。
さっき食べたのに「ご飯はまだ?」と聞くことは、本当によくあります。

また、同じ話を繰り返すのも認知症の特徴ですが、これも同様です。
話したこと自体を忘れているので、また同じ話をする。
本人にとっては「さっき話したこと」ではなく「初めて話すこと」なのです。

暴言や暴力が増える

また、認知症が進むと、暴言や暴力も増えてきます。
これも理解力や判断力の低下が原因です。
何か気にくわないことがあった時に「腹は立つけど暴言や暴力はダメだ」という判断ができなくなり、感情が言動に表れてしまうのです。

さらに、勘違いでカッとなるケースもあります。
正常な判断ができずに「自分が文句を言われている」とか「仲間外れにされている」など、否定的な感情を持ってしまうケースです。

このように、中期辺りからコミュニケーションが難しくなってくるため、周囲から孤立しがちになり、その結果さらに認知症が進んでしまう、という悪循環になることも珍しくありません。

認知症が進むとどうなる?

家族の顔が分からなくなる

認知症が軽い段階では覚えていた家族の顔も、だんだん分からなくなっていきます。
まだ何とか思い出せるならいいのですが、時間とともにそれもできなくなってしまいます。
まったく知らない人のような接し方をされるので、家族にとっては非常に辛い経験です。

生活のリズムが整えられなくなり昼夜が逆転する

認知症が進み、判断力が低下する結果、時間の感覚が鈍ってしまい、昼と夜が逆転することがあります。
特に、活動意欲が少なくなり、日中ボーッとして過ごすようになると、生活にメリハリがなくなり、昼か夜かの判断がつきにくくなります

しかも、真夏は朝の6時も、夜の6時も外は明るいですし、冬になると朝の6時も夜の6時も暗いですよね。
そうすると、時計は6時となっていて、外の景色が朝と夜であまり変わらないので、朝6時なのか夜6時なのか混乱しやすくなるのです。

さらに認知症が進むと、外が明るいか暗いかに関係なく、時間の感覚がなくなっていきます。
昼間ずっと寝て、夜通し起きているということも珍しくなくなります。

失禁が多くなる

認知症の中期辺りになると、失禁も少しずつ見られるようになります。

失禁は、認知症の有無にかかわらず、加齢にともなう筋力低下なども原因になります。
しかし、認知症の場合、筋力だけでなく、理解力や判断力も低下するので、失禁することが多くなってしまうのです。
判断力が低下して「トイレでしなければいけない」という気持ちが弱くなってくると、例えば車イスに座っている時でも排泄してしまいます

食べられない物でも食べようとする(異食)

認知症が進むと、食べられない物でも食べようとする「異食」という行為が見られるようになります。

よくあるのが、食事の時にテーブル上の物を食べようとするケース。
例えば、つまようじやティッシュ、使った後のラップなどです。

ただし、異食行為は必ずしも食事の時だけに限りません。
ビニール袋だろうが、文房具だろうが、とにかく手に持てるサイズの物であれば何でも、という感じです。
窒息や怪我の危険があるので、注意が必要です

認知症、最後はどうなる?

認知症が進むと、最後はどうなるのでしょうか。
末期の認知症と言われる段階です。

理解力や判断力がさらに低下する

認知症が末期の段階になると、理解力や判断力がさらに低下します。
その結果、周りからの声かけに対しても反応がなくなったり、自分で言葉を発することがなくなったりします。
理解力や判断力の低下に伴い、喜怒哀楽の感情がなくなっていくため、顔の表情も少なくなります。

不潔行為が増える

認知症末期には、不潔行為が増えるという特徴も現れてきます。
不潔行為とは、文字通り不潔な行為。

例えば、トイレの水を飲むなどです。
ここで言うトイレの水とは、手洗い用の水ではありません。
便器にたまっている水です。
便器たまった水を手ですくって、です。

また、自分の便を自分で触るというのも、不潔行為の代表例といえます。
便を触るだけでなく、その手で、いろいろな所を触られるので、後が大変です。
人の顔を触ることもありますし、手を自分の口に入れてしまうことも・・・

認知症にならないために大切なことは?

このページでは「認知症が進むとどうなる?」ということで、代表的な症状をご紹介してきました。

最初にお伝えしたように、認知症はいくつかの種類があり、原因が解明されていないものもあります。
ですが、できることなら、認知症にならないようにしたいですよね

そのためにやるべきは色々ありますが、その中の1つが運動です。
運動すると体だけでなく脳も活性化するため、老化や認知症の予防になるからです。

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