介護施設のレクリエーションとして、塗り絵は定番の活動として定着しており、日々の活動のなかで、入居者や利用者の方はたくさんの塗り絵作品を完成させています。
しかし、塗り絵を保管するスペースには限りがありますし、一定期間が過ぎたら処分せざるを得ないケースもあるので、完成した作品の扱いに悩むスタッフは少なくありません。
せっかく時間をかけて仕上げた作品を、そのまま眠らせておくのは少しもったいないですからね。
ですが、完成した塗り絵は、工夫次第で、別の用途に再利用できます。
壁に飾る季節の装飾にしたり、手に取って使える身近な小物に作り替えたり。
何より、自分の作品が施設の飾りに使われているのを見ることは、入居者様にとって嬉しい出来事です。
本記事では、完成した塗り絵を有効に活用するアイデアをご紹介します。
どれも特別な道具や高価な材料を使わず、普段の業務の合間に準備できる手軽なものばかりですので、施設の雰囲気づくりや、入居者様に喜んでもらえるレクリエーションのヒントとしてご活用ください。
施設がパッと明るくなる!春夏イベントを彩る再利用アイデア
春から夏にかけては、明るい日差しに合うような華やかな装飾や、涼しさを感じられるアイテムづくりが向いています。
短冊と一緒に笹へ!個性が光る色鮮やかな七夕飾り

七夕の時期には、完成した塗り絵を笹に飾るオーナメントとして再利用する方法がおすすめです。
まずは、星や天の川、織姫や彦星などの七夕に関連する絵柄の塗り絵を、線の輪郭に沿って切り抜きましょう。
次に、切り抜いた作品の上部に穴あけパンチで小さな穴を開け、そこにタコ糸やリボンを通して結び目を作ります。
最後に、願い事を書いた短冊と一緒に笹の葉に結びつければ、色鮮やかで個性豊かな七夕飾りの完成です。
また、絵柄に関係なく、色を塗った紙そのものを細長く切り分け、くるくると丸めてのりで繋ぐ輪飾りにするのも良いですね。
完成した輪飾りは壁に這わせたり、天井から吊るしたりすることで、空間全体を七夕らしく演出してくれます。
夏祭りでも大活躍!世界に一つだけの手作りうちわ

暑い夏の時期には、実用的に使える手作りのオリジナルうちわに、塗り絵をアレンジしてみましょう。
まず準備として、100円ショップで売っているプラスチック製のうちわを用意し、表面の紙を綺麗に剥がしておきます。
次に入居者様が仕上げた塗り絵を、うちわの骨組みのサイズに合わせて丸い形にハサミで切り取ってください。
絵柄は、朝顔や金魚鉢、花火や水風船など、夏らしさを感じられるテーマのものを選ぶとより季節感が出ます。
そして、切り取った紙の裏面にスティックのりやボンドをまんべんなく塗り、うちわの骨組みにしっかりと貼り合わせます。
隙間ができないように手でしっかりと押さえ、のりが乾くまでしばらく置いておけば完成です。
自分の作品がうちわという実用的な道具になることで、ただ絵を描いたときとは違う新鮮な喜びを感じてもらえるはずです。
夏祭りや盆踊りのイベントの際に皆さんでこのうちわを使えば、行事の雰囲気もいっそう盛り上がります。
室内を暖かく演出!秋冬シーズンの壁面と立体飾り
秋から冬にかけての季節は、室内で過ごす時間が長くなるため、施設の中を暖かく彩るような工夫が喜ばれます。
省スペースで本格的!壁一面で作るクリスマスツリー

冬の一大イベントであるクリスマスには、塗り絵をツリーの飾りに見立てた壁面装飾のアイデアが活躍します。
サンタクロースやトナカイ、雪の結晶や長靴といった絵柄を丁寧に切り抜き、オーナメントのパーツとして準備することからスタート。
コピー用紙のような薄い紙の場合は、切り抜く前に裏面に画用紙や段ボールを貼り合わせておくと丈夫になります。
施設の壁には、緑色の大判の色画用紙や模造紙を切り貼りして、大きなもみの木のベースを作っておきましょう。
入居者様には、自分が塗った作品をツリーの好きな場所に、両面テープなどで貼り付けてもらってください。
全体のバランスを見ながら、赤や金色の丸いシールを余白に貼ってデコレーションを加えるとさらに見栄えが良くなります。
壁面を大きく使ったクリスマスツリーは存在感があり、施設内に年末の楽しい雰囲気を演出してくれること間違いありません。
立体的な本物のツリーを置くスペースがない施設でも、壁面を使えば省スペースで季節感を味わうことができますね。
少しの工夫で特別感アップ!縁起物をアレンジしたお正月の立体飾り

新年を迎えるお正月の準備には、だるまや羽子板、干支などの縁起物の塗り絵を使った壁面飾りが最適です。
ただ切り抜いて貼るだけでなく、少しの工夫で立体感を持たせると、見栄えの良い本格的な作品に仕上がります。
例えば、だるまの塗り絵の場合、輪郭を切り抜いたあとに、裏面の中心部分に丸めたティッシュペーパーを置きます。
その状態のまま、ティッシュを包み込むようにして少し厚手の台紙に貼り付けると、だるまのお腹がふくらんだような立体感を出せるはずです。
羽子板の絵柄であれば、絵の中にある羽根のモチーフの部分に、手芸用の白い羽毛や綿を少量のボンドで貼り付けます。
また、羽子板の持ち手の部分にだけ千代紙や和柄のマスキングテープを貼るなど、異素材を組み合わせるのも効果的です。
少し手を加えるだけで平面の塗り絵が立派な飾りに変わり、お正月の特別感を演出するのに役立ちます。
迎春の文字などと一緒に玄関や廊下に展示すれば、来訪されるご家族にも喜んでいただける立派なお正月飾りになります。
ご家族にも喜ばれる!いつでも見返せる思い出の品へリメイク
共有スペースに飾るだけでなく、入居者様ご本人やご家族がいつでも見返せるように、形に残す方法も取り入れてみましょう。
最高の笑顔を引き出す!お気に入り作品と一緒に綴る記念日アルバム

敬老の日やお誕生日などの節目には、これまでに完成させた塗り絵を使った記念撮影を行うと良い思い出になります。
ご本人に一番お気に入りの塗り絵作品を選んでいただき、それを胸の前に掲げた状態で写真を撮影します。
自分の作品と一緒に写真に写ることで、少し誇らしげな、良い表情を引き出しやすくなるのがメリットです。
撮影した写真はプリントアウトして、手に持っていた実際の塗り絵作品と一緒に、クリアファイルやスクラップブックに収納します。
写真の横には、撮影した日付や、作品のどこを工夫して塗ったのかといった簡単なコメントを添えておきましょう。
こうして少しずつページを増やしていくと、その方専用のオリジナルの記念アルバムができあがります。
面会に来られたご家族にも、このアルバムを見ていただくことで、施設での日々の過ごし方やご様子が伝わりますよね。
ご家族から作品を褒めてもらうことは、ご本人にとって何よりの喜びとなり、明日からの活動への意欲にもつながります。
1年の達成感を形に!振り返りが楽しくなる年末のオリジナル作品集

一年間のレクリエーションの締めくくりとして、年末にオリジナル画集を作成する活動もおすすめです。
毎月のレクリエーションで描きためた塗り絵をテーブルに広げ、ご本人と一緒に一年間の作品を振り返ります。
その中から、特に上手く塗れたものや季節の思い出が詰まったものを数枚、ご自身で選び出していただきましょう。
選んだ作品を揃え、少し厚手で丈夫な色画用紙などで作った表紙と裏表紙で挟み込みます。
端に穴あけパンチで2箇所ほどの穴を開け、そこに毛糸やリボンを通して結んで一つに綴じます。
表紙には筆ペンやサインペンで、ご自身の名前を書き入れ、「ご自身の作品集」といったタイトルをつけてください。
自分の作品が一冊の本というしっかりとした形にまとまることで、一年間の達成感を視覚的に感じることができます。
作品集のページをめくりながら「あの時はこういう行事がありましたね」とスタッフと会話をする時間は、良い振り返りになるはずです。
「来年もまた素敵な作品を作りましょう」と声をかけることで、次の一年へのモチベーションを高める役割も果たします。
ゼロから作るより断然ラク!スタッフの業務負担を減らす賢い活用術
塗り絵を再利用する取り組みは、入居者様にとってメリットがあるだけでなく、スタッフの業務負担を減らすことにもつながります。
レクリエーションや季節の装飾をゼロから企画し、必要な材料を買い揃えてパーツを作るのは、どうしても時間がかかりますよね。
しかし、日々の活動ですでに完成している塗り絵を素材として使えば、準備の時間を大幅にカットすることができます。
スタッフは壁に飾るためのベース部分を用意するだけでよく、メインとなる飾り付けの材料は入居者様の作品でまかなえるからです。
コストの削減にもなりますし、準備にかかる手間が減った分を、入居者様とのコミュニケーションや介助の時間に充てることができます。
既存のものを別の形に変えて使い回すという発想は、限られた人員と時間で運営している現場において実用的な手段です。
ちょっとした工夫でいろいろなアレンジができますので、大いに活用してください。
まとめ:塗り絵の再利用で施設に笑顔とゆとりを
介護施設での塗り絵は、ただ色を塗って楽しむだけでなく、完成したあとも様々な形で活用できる便利な素材です。
ここまでご紹介してきたように、季節のイベントに合わせた壁面装飾にしたり、うちわのような実用品にしたりすることで、作品に新たな価値が生まれます。
また、記念写真と一緒にアルバムに収めたり、年末に画集として綴じたりすることで、大切な思い出の品にもなります。
自分の手で作ったものが誰かの目を楽しませたり、形として残ったりすることは、入居者様の日々の生活に小さな張り合いをもたらします。
現場のスタッフの方々は日々の業務で忙しいと思いますが、塗り絵の再利用は比較的負担が少なく導入できるアイデアです。
まずは今手元にある完成済みの塗り絵を使って、ハサミで切り抜いて壁に貼るといった簡単なところから始めてみてください。
